眼瞼下垂とは?症状・セルフチェック
眼瞼下垂とは、まぶたやまぶたの皮膚が下がる病気です。生まれつきまぶたが下がっている場合(先天性)、ほかの病気が原因でまぶたが下がる場合や、加齢が原因で下がる場合(後天性)があります。
眼瞼挙筋(上瞼を収縮させる筋肉)が異常を来したり、上瞼の皮膚が垂れ下がったりすることで起こります。
症状
- 眠そうに見える
- 加齢でまぶたがたるんできた
- まぶたが下がって物が見えづらい
- 肩がこる
- 頭痛がする
- 疲れやすい
- おでこに深いシワが寄る
セルフチェックの方法
眼瞼下垂はご自宅で、スマートフォンのカメラ機能と物差しを使ってセルフチェックできます。
眼瞼下垂のセルフチェック
- 1.物差しを眉に当てる
鏡の前に立ち、物差しを眉毛に当てて指で固定します。
目を傷つけないよう、必ず目を閉じて行ってください。 - 2.眉を持ち上げずに目を開ける
物差しを当てた状態のまま、できるだけ眉を持ち上げずにゆっくり目を開けます。 - 3.スマートフォンで撮影
目を開けた状態のまま、スマートフォンで撮影します。
黒目が画面の正面に来るように撮影してください。 - 4.上瞼の縁までの長さを計測
撮影した画像を拡大して、目の中心から上瞼の縁までの長さを測ります。
この時、長さが3.5mm以下の場合、眼瞼下垂の可能性があります。
軽度~強度までの程度
眼瞼下垂は症状に現れ方に応じて、軽度、中等度、強度の3つに分類されます。
正常な瞼
上瞼の縁が黒目にほとんどかかっていなければ、正常な瞼と言えます。
軽度
上瞼の縁が黒目と瞳孔の間にかかっている場合、軽度の眼瞼下垂となります。
中等度
上瞼の縁が瞳孔の上半分を覆っている場合、中等度の眼瞼下垂となります。
強度
上瞼の縁が瞳孔の下半分まで被さっている場合、強度の眼瞼下垂となります。
眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂は原因に応じて次のような種類に分けられます。
生まれつきの眼瞼下垂
先天的に眼瞼挙筋(上瞼を収縮させる筋肉)やそれを動かす神経に問題があって、上瞼が十分に開かず眼瞼下垂となる場合があります(先天性眼瞼下垂)。
後発性の眼瞼下垂
加齢による筋力の低下や皮膚の弛緩、神経の異常、白内障や緑内障の手術の影響など後天的な要因で起こる眼瞼下垂を「後天性眼瞼下垂」と言います。
後天性眼瞼下垂のほとんどは、眼瞼挙筋が収縮する動きが上瞼に伝わらないために起こる腱膜性眼瞼下垂です。
偽眼瞼下垂
瞼の皮膚の弛緩や痙攣、眉毛下垂(びもうかすい)などにより、眼瞼下垂と同じような状態となるものを偽眼瞼下垂と言います。
多くの場合、上瞼のたるみが原因です。
眼瞼下垂の治療方法
手術による治療
筋肉の強化・修復
眼瞼挙筋が脆弱になったり、剥がれたり、穴が開いてしまっていることで眼瞼下垂が起こっている場合には、この筋肉を強化・修復することで改善をはかります。
眼瞼挙筋の腱やミュラー筋(交感神経の刺激で収縮する筋肉)を短縮し、上瞼が十分開くようにして固定します。
大きく皮膚を切開する方法と、結膜を切開する方法があります。
- 皮膚を切開する場合
二重瞼のラインに沿って余分な瞼の皮膚を切開します。
傷跡はほとんど目立たず、同時に弛んだ皮膚を切除することも可能です。 - 結膜を切開する場合
上瞼を裏返して、結膜から切開して眼瞼下垂の改善をはかります。
皮膚に傷跡を付けずに済みますが、皮膚が弛んでいる場合には皮膚の切開が必要になります。
つりあげ術
重度の眼瞼下垂に対して行われる治療で、眼瞼挙筋の動きに問題がある場合や、その筋肉を司る神経に麻痺がある場合などに行います。
額の筋肉と上眼瞼の瞼板を人工素材などで連結し吊り上げることで、十分目が開くようにします。
手術における注意事項
眼瞼下垂の手術の注意事項として、次のようなことが挙げられます。
よく理解した上で手術を受けられるようにしてください。
注意事項
- 術後、自律神経の不調が現れる場合があります。
- 瞼が開くようになることで、目が乾燥しやすくなる場合がありますが、通常、時間の経過と共に解消されていきます。
- 術後、左右の目の開きに差が生じたり、三角目になったりする場合があります。この場合、術後2週間から半年くらいの時期に修正手術を行います。
- 片方の目で眼瞼下垂の手術を行った場合、もう片方の目の上瞼が下がる場合があります。そのため、両目で眼瞼下垂が起こっており、左右で開き方に差がある場合には、同時に両目へ手術を行った方が良いと言えます。
- 通常、半年程度で改善されますが、術後、乱視などの屈折異常が起こる場合があります。そのため、白内障の手術やレーシックを受ける予定がある方は、先に眼瞼下垂の手術を受けられることをおすすめします。
保険適用について
生まれつきの眼瞼下垂(先天性眼瞼下垂)、老人性眼瞼下垂、コンタクトレンズの長期装用により視野が狭くなっている場合などに対する手術は保険適用となります。
一方、美容目的の手術の場合は保険適用外となります。
予防方法
まぶたにかかる負担を減らす
過度なアイメイクや刺激の強いクレンジングなどは瞼に負担をかけ、眼瞼下垂を起こす要因となりますので、できるだけ避けるようにしましょう。
また、瞼を擦り過ぎることも良くありません。
まぶた周りの筋力を上げる
多くの場合、眼瞼挙筋(上瞼を収縮させる筋肉)が弛むことで眼瞼下垂が起こりますので、次のようなエクササイズで瞼のまわりの筋力を鍛えるようにしましょう。
- 目を軽くつむる(3秒間)
- 目をつむる力を強くする(3秒間)
- 瞼を中心に絞るようなイメージで目をつむる(5秒間)
- ゆっくり目を開ける
- 1~4を3セット繰り返す